表装前の状態(まくり)の作品や新しく制作された作品の新規裏打ちから各種表装への装丁を行っております。
基本的には、文化財の修復の際と同様の技法・材料による伝統的で本格的な表具となります。
使用する材料は、裏打ち紙には、手漉きの楮紙、接着剤には小麦澱粉糊(化学糊は不使用)を使用し、表装裂地は基本的に正絹(紙表具の場合を除き)にてお仕立てします。
伝統的な技法・材料にてお仕立てすることにより、現代の表装では失われつつある品格や趣、風合いを備えた表具となります。
また、伝統的で安全な材料を用いておりますので、保存性が高く、可逆性もあるため、作品が未来へと伝えられてゆく表具となります。
三段表具
<掛軸装>
三段表具
一文字:茶地牡丹唐草紋金襴
風帯:筋分け風帯
中廻し:萌黄地変り唐花紋金襴
上下:白茶地牡丹唐草紋緞子
軸首:象牙切軸
肌裏紙:薄美濃紙
増裏紙:美栖紙
総裏紙:宇陀紙
糊:小麦澱粉糊
<幀装(屏風・額・襖など)>
・屏風・額・襖などは下地の土台パネルに張り込むことを基本とします。
・現代の土台パネルは、多様性、利便性よりベニヤの下地などが多く見られます。しかし、べニヤの下地は、通気性がなく、ベニヤ板からの酸などの影響は、作品のシミ(フォクシング)の要因の一つとも言われています。保存に対して決して良い影響をあたえるものではないと言えます。
・伝統的な下地パネルは、杉材の白太(外層の白い部分)の角棒を格子状に組み上げた「骨」と呼ばれる下地に、丈夫な手漉きの楮紙を貼り方を変えながら、幾層にも貼り重ねる「下張り」と呼ばれる工程を経て、作製します。
・伝統的な下地パネルは、しっかりとした下張りを施していれば、軽くて堅牢で、緩やかな呼吸性があり、保存に理のかなった構造です。
・恒春堂では、伝統的な下地パネル(骨に下張りをしたもの)に裏打ちを施した作品を張り込み、屏風・額・襖などにお仕立ていたします。
・屛風は蝶番を備え、折り畳むことが出来る構造となっています。この蝶番は金物ではなく、丈夫な楮紙を用いた紙蝶番で製作します。