東洋絵画・書跡の修復2
<対症・応急修復>

本格解体修復とは異なり、損傷箇所、その原因となる部分のみに修復の手を加えます。

本格解体修復の時期をもう少し先と考える場合、応急的な処置を施すことで損傷の進行を緩やかにすることができます。

対症・応急修復の概要

折れの様子

掛軸裏面より折れ伏せを行う様子

太巻き芯を付けての巻き取りの様子

<掛軸や巻子(軸装作品)の折れに対する処置>

・軸装作品に生じる「折れ」は、巻いて保管する形態の宿命的な損傷です。(本格解体修復の「折れ伏せ」もご参照ください。)

・本来、折れに対する修復は、本格解体修復を行い、裏打ちの内部で「折れ伏せ」の処置を行うのが効果的です。

・しかし、本格解体修復は外科手術のような大掛かりな処置であり、作品に少なからず負担がかかる可能性もあります。

・そこで、他の損傷度合いが軽い場合は、本格解体修復の時期を後に見送り、折れに対し対症・応急的な処置を行うことも可能です。。

・「折れ伏せ」を背面(総裏打ち)より入れることで、内部での処置ほど完全に解消できませんが、折れを軽減、緩和し、劣化損傷の進行を緩やかにします。

・「折れ」は巻く際の曲率が大きいほど生じやすくなります。そこで、「太巻き芯」を使用し巻径を大きくすることで、曲率を緩やかにし、折れの損傷を緩和させることができます。(文化財・美術品の保存・収納箱の作製もご参照ください。)

 

 

 

カビの胞子を物理的に除去している様子

エタノール水溶液による殺菌

<カビの除去>

・保存環境などによりカビが発生することがあります。

カビの発生直後は表層部に胞子が付着した状態のため、刷毛で払う、エタノールで殺菌するなどの対応が可能です。

・カビの発生から時間が経過すると、カビの胞子は内部へ入り込み、基底材(紙、絹)や彩色(絵の具)を侵食・劣化させます。また、カビの種類によって着色のシミが発生します。

・そのためできるだけ早い処置が必要となり、状況によっては、対症・応急修復での対応が可能となります。

掛軸の紐の取り換え

軸首の再接着

<その他の対症・応急修復>

<紐の取り換え>                             

・軸装、特に掛軸の場合の掛紐の劣化は、掛け外しの際に落下につながる危険性があります。

・作品の内容、掛軸の形式に合わせた紐にお取り換えいたします。

 

<軸首の外れ>

・軸首が外れた場合、一度掛軸から軸棒を外し、膠等を用いて軸首を再接着し、軸棒を掛軸に戻します。

・海外輸送のための軸首の交換なども承ります。

 

<掛軸・屏風・額等の破損の処置>

各種装丁の破損に対して和紙を貼り当てるなどの処置を行い、亀裂などの損傷の進行を緩やかにします。

・ただし、破れや裂けなどの損傷は、裏打ち紙の劣化による支持力の低下やそもそもの裏打ち紙の強度不足によるものと考えられます。そのため、対症・応急による処置は一時的なものとお考えいただき、裏打ち紙を取り換える本格解体修復もご検討ください。

お気軽にお問合せください

お電話でのお問合せ・相談予約

03-5454-1663

<受付時間>
9:00~20:00

フォームは24時間受付中です。お気軽にご連絡ください。

新着情報・お知らせ

2024/12/23
ホームページを公開しました
2024/12/20
「サービスのご案内」ページを更新しました
2024/12/19
「概要情報」ページを作成しました

恒春堂

住所

〒151-0062 東京都渋谷区元代々木町38-1-103 

受付時間

9:00~20:00